「歯を磨くと血が出る」
「歯ぐきが腫れることがある」
「歯周ポケットが深いと言われた」
「最近、歯が少しグラグラする」
このような症状があると、
「もしかして歯周病では?」
と不安になる方もいらっしゃると思います。
歯周病は、歯ぐきだけに起こる病気ではありません。
進行すると、歯を支えている歯槽骨などの組織にまで炎症が広がり、少しずつ歯の支えが失われていくことがあります。
一方で、
「歯ぐきから血が出る=重度の歯周病」
でも、
「歯周ポケットが深い=すぐ抜歯」
でもありません。
歯周病の状態を正しく把握するためには、歯ぐきの出血、歯周ポケットの深さ、歯を支える骨、歯の揺れ、歯石やプラーク、噛み合わせなどを総合的に確認する必要があります。
アークデンタルクリニックでは、単に歯石を取るだけではなく、
「なぜ炎症が起きているのか」
「治療によってどこまで改善できるのか」
「その歯をできるだけ長く残せる可能性があるのか」
まで考えながら歯周病治療を進めています。
この記事では、歯周病について知っておきたい、
症状・原因・進行・検査・治療方法・歯周外科・重度歯周病・メンテナンス
までを、順番にわかりやすく解説します。
歯周病とは?
歯周病とは、歯の周囲にある組織に炎症が起こる病気の総称です。
代表的なものに、
- 歯肉炎
- 歯周炎
があります。
歯肉炎とは
歯肉炎は、炎症が主に歯ぐきにとどまっている状態です。
歯ぐきが赤くなったり、腫れたり、歯磨きのときに出血したりすることがあります。
歯周炎とは
歯周炎は、炎症が歯ぐきだけでなく、歯を支えている歯槽骨などの組織にまで及んだ状態です。
進行すると、
歯周ポケットが深くなる
↓
歯を支える組織が失われる
↓
歯の支えが少なくなる
という変化が起こることがあります。
つまり歯周病は、
「歯ぐきの病気」から「歯を支える組織の病気」へ進行する可能性がある
という点が重要です。
歯周病の主な症状
歯周病の特徴の一つは、初期の段階では強い痛みが出ないことがある点です。
そのため、
「痛くないから大丈夫」
とは限りません。
次のような症状がある場合は、一度歯科医院で状態を確認することをおすすめします。
歯周病でみられる主な症状
- 歯磨きをすると血が出る
- 歯ぐきが赤い
- 歯ぐきが腫れる
- 口臭が気になる
- 歯ぐきが下がってきた
- 歯が以前より長く見える
- 歯と歯の間にすき間ができた
- 歯ぐきから膿が出る
- 歯がグラグラする
- 噛みにくくなった
特に、
出血・腫れ・口臭・歯の揺れ
などが繰り返す場合には、歯周病が進行していないか確認することが大切です。
歯ぐきから血が出る方へ
歯磨きのときの出血について詳しく知りたい方は、
もあわせてご覧ください。
歯周病の主な原因はプラークです
歯周病の大きな原因となるのが、
プラーク(歯垢・バイオフィルム)
です。
プラークは単なる食べかすではなく、多くの細菌を含む付着物です。
歯と歯ぐきの境目にプラークがたまると、歯ぐきに炎症が起こります。
その状態が続くと、歯周ポケットが深くなり、その中にさらにプラークや歯石が入り込みやすくなります。
さらに炎症が進むと、歯を支えている組織にまで影響が及ぶことがあります。
歯周病の進み方には個人差があります
歯周病の中心的な原因はプラークですが、病気の進み方にはさまざまな要因が関係します。
例えば、
- 歯磨きの状態
- 歯石
- 歯並び
- 噛み合わせ
- 喫煙
- 糖尿病などの全身状態
- 生活習慣
- 患者さま自身の体質
などです。
そのため、
同じように歯石が付いていても、すべての人が同じように歯周病が進むわけではありません。
歯周病治療では、お口の状態だけでなく、生活習慣や全身状態も確認しながら治療を進めることが大切です。
歯周病はどのように進行する?
歯周病は、ある日突然歯がグラグラになる病気ではありません。
一般的には、
プラークがたまる
↓
歯ぐきに炎症が起こる
↓
歯周ポケットが深くなる
↓
歯を支える組織に炎症が広がる
↓
歯槽骨が失われる
↓
歯の支えが少なくなる
という流れで進行していきます。
ただし、症状の出方や進行速度には個人差があります。
そのため、
見た目や自覚症状だけで、歯周病の進行度を判断することはできません。
歯周ポケットとは?
歯科医院で、
「歯周ポケットが深いですね」
「6mmあります」
などと言われた経験がある方もいると思います。
歯周ポケットとは、歯と歯ぐきの間にある溝のことです。
歯周病によって炎症が進むと、この溝が深くなります。
しかし、
「歯周ポケットが深い=すぐに手術」
でも、
「歯周ポケットが深い=すぐ抜歯」
でもありません。
歯周ポケットの深さに加えて、
- 測定時に出血するか
- 歯を支えている骨がどの程度残っているか
- 歯がどの程度揺れているか
- 深い部分に歯石が残っているか
- 噛み合わせに問題がないか
などを総合的に確認します。
歯周ポケットについて詳しく知りたい方は、
「歯周ポケットが深いと言われたらどうする?歯周病の進行度と治療方法を歯科医師が解説」
をご覧ください。
歯周病ではどのような検査をする?
歯周病治療では、見た目だけで判断するのではなく、いくつかの検査を組み合わせて現在の状態を確認します。
1.歯周ポケット検査
専用の器具を使い、歯と歯ぐきの間の深さを測ります。
同時に、測定時に出血があるかどうかも確認します。
2.レントゲン検査
歯を支えている歯槽骨がどの程度残っているのかを確認します。
3.歯の揺れの確認
歯周病が進行すると、歯を支える組織が減り、歯が動きやすくなることがあります。
4.プラーク・歯石の確認
どこにプラークが残りやすいのか、歯石がどこに付着しているのかを確認します。
5.噛み合わせの確認
特定の歯に強い力が集中していないかなどを確認します。
大切なのは、
一つの数字だけで判断しないことです。
歯周ポケット、出血、歯槽骨、歯の揺れ、清掃状態などを総合的に判断します。
歯周病治療の基本は「原因を減らすこと」
歯周病治療というと、
「歯石を取る治療」
というイメージを持つ方も多いと思います。
もちろん歯石の除去は重要ですが、それだけで歯周病治療が終わるわけではありません。
治療で大切なのは、
歯周病の原因となるプラークがたまりにくい状態をつくり、患者さまご自身でも管理できるようにすること
です。
つまり、
歯科医院での治療+毎日のセルフケア
の両方が必要になります。
歯周病治療はどのように進む?
歯周病の状態によって治療内容は異なりますが、基本的には段階を追って進めていきます。
STEP1|歯周病の検査
まず、
- 歯周ポケット
- 出血
- 歯槽骨
- 歯の揺れ
- プラーク
- 歯石
などを確認します。
STEP2|ブラッシング方法の確認
歯科医院で歯石を取っても、毎日のプラークが再びたまれば炎症は繰り返します。
そのため、患者さまのお口に合った歯磨き方法を確認します。
STEP3|歯石・プラークの除去
歯の表面や歯ぐきの中に付着した歯石・プラークを取り除きます。
必要に応じて、スケーリングやルートプレーニングなどを行います。
STEP4|再評価
治療後に、
- 出血が減ったか
- 歯ぐきの腫れが改善したか
- 歯周ポケットが改善したか
- 歯石が残っていないか
をもう一度確認します。
STEP5|必要に応じて次の治療へ
歯周基本治療を行っても、深い歯周ポケットや炎症が残る場合があります。
そのような場合には、
歯周外科治療
を検討することがあります。
歯周外科治療とは?
「歯周外科」と聞くと、
「かなり重症なのでは?」
「歯ぐきを切るのが怖い」
と感じる方もいると思います。
歯周外科治療とは、通常の歯周病治療だけでは十分に改善しにくい部分に対して行う治療です。
歯周ポケットが深くなると、歯ぐきの外側からでは、深い部分にある歯石や炎症性組織を十分に確認できないことがあります。
そのような場合に、必要に応じて局所麻酔を行い、歯ぐきを一時的に開いて、
- 歯根に付着した歯石
- プラーク
- 炎症性の組織
- 歯槽骨の状態
などを直接確認しながら処置します。
大切なのは、
「手術をすること」そのものが目的ではない
ということです。
目的は、
通常の治療では確認しにくい部分まで状態を把握し、歯周病を進行させる原因をできるだけ取り除くこと
です。
歯周ポケットが深いからといって、すぐ歯周外科をするわけではありません
アークデンタルクリニックでは、
検査
↓
歯周基本治療
↓
再評価
↓
必要に応じて歯周外科
という順番を大切にしています。
歯周基本治療によって状態が十分に改善すれば、歯周外科を行わずにメンテナンスへ移行できる場合もあります。
一方で、
- 深い歯周ポケットが残っている
- 出血や炎症が続いている
- 深い部分に歯石が残っていると考えられる
といった場合には、歯周外科を検討することがあります。
歯周外科について詳しく知りたい方は、
「歯周外科治療|深い歯周ポケットの原因を直接確認し、できるだけ歯を残すために」
をご覧ください。
重度の歯周病でも歯を残せることはある?
「歯周病がかなり進んでいる」
「歯がグラグラしている」
「抜歯が必要かもしれないと言われた」
このような場合、
「もう歯を残すことはできないのでしょうか?」
と不安になると思います。
しかし、
「重度の歯周病=必ず抜歯」
とは限りません。
歯を残せる可能性を判断するには、
- 歯を支えている骨
- 歯根の状態
- 歯の揺れ
- 深い部分の感染源を取り除けるか
- 噛み合わせ
- 歯周基本治療への反応
- セルフケアの状態
などを総合的に確認する必要があります。
まず歯周基本治療を行い、炎症がどの程度改善するのかを見たうえで、改めて歯を残せる可能性を判断することもあります。
「抜く・残す」は最初から決めつけないことが大切です
歯周病が進行した歯を見ると、
「ここまで悪ければ抜くしかない」
と思うかもしれません。
しかし、最初の検査だけでは、その歯の将来を判断しきれない場合もあります。
そのため、
まず治療する
↓
炎症がどこまで改善するかを見る
↓
再評価する
という考え方が大切です。
一方で、すべての歯を残せるわけではありません。
骨や歯根の状態などによっては、無理に残すことで周囲の歯や将来の治療に悪影響を与える場合もあります。
大切なのは、
「何が何でも残す」でも「すぐ抜く」でもなく、その歯を残すことが患者さまにとって本当に良いのかを考えること
です。
歯を残すための治療について詳しく知りたい方は、
「歯周病で歯を抜かないためにできる治療とは?重度の歯周病でも歯を残せる可能性を歯科医師が解説」
をご覧ください。
また、重度歯周病でどのような場合に歯を残せる可能性があるのかについては、
「歯周病が進行しても歯を残せるケースとは?重度歯周病で歯を残すために確認したい7つのポイント」
で詳しく解説しています。
歯周病治療は「治療して終わり」ではありません
歯周病治療によって状態が改善しても、
その状態が自動的にずっと続くわけではありません。
再びプラークがたまり、炎症が起これば、歯周病が再発・進行する可能性があります。
そのため、治療後は、
- 毎日の歯磨き
- フロスや歯間ブラシ
- 定期的な歯周ポケットの確認
- 歯石やプラークの除去
- 噛み合わせの確認
などを続けることが大切です。
アークデンタルクリニックでは、
「治すこと」だけではなく、「良くなった状態をできるだけ長く守ること」までが歯周病治療
だと考えています。
歯周病についてよくある質問
Q1.歯磨きで血が出たら歯周病ですか?
歯ぐきに炎症があると、歯ブラシの刺激で出血しやすくなります。
ただし、出血の原因は歯周病だけとは限りません。
出血を繰り返す場合や、腫れ・口臭などほかの症状もある場合には、歯科医院で状態を確認することをおすすめします。
Q2.歯周ポケットが深いと、必ず手術が必要ですか?
必ずしもそうではありません。
まず歯周基本治療を行い、炎症や歯周ポケットがどの程度改善するのかを確認します。
その後も深いポケットや炎症が残る場合に、必要に応じて歯周外科治療を検討します。
Q3.歯周病で失った骨は元に戻りますか?
歯周病によって失われた歯槽骨が、通常の歯石除去だけで必ず元通りになるわけではありません。
ただし、骨の失われ方や歯周組織の状態など、条件が合う場合には歯周組織再生療法を検討できることがあります。
すべての症例に適応できる治療ではないため、診査・診断が必要です。
Q4.歯がグラグラしていたら抜歯になりますか?
歯が揺れているからといって、必ず抜歯になるわけではありません。
歯を支える骨、歯根、炎症の状態、噛み合わせ、歯周基本治療への反応などを確認して判断します。
重度の歯周病でも、まず治療を行い、その後の状態を見て保存の可能性を検討する場合があります。
Q5.歯周病は治療すればもう再発しませんか?
歯周病は、治療後もプラークが再び蓄積すれば炎症が再発する可能性があります。
そのため、毎日のセルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスを続けることが大切です。
「血が出るだけ」と放置せず、まず現在の状態を確認しましょう
歯周病治療で大切なのは、
症状だけを抑えることではありません。
なぜ炎症が起きているのか。
歯を支える骨はどのくらい残っているのか。
深い歯周ポケットの中に原因が残っていないか。
そして、
その歯をこれからできるだけ長く守るために何が必要なのか。
そこまで考えることが大切です。
アークデンタルクリニックでは、
検査
↓
歯周基本治療
↓
再評価
↓
必要に応じて歯周外科治療
↓
メンテナンス
という流れを大切にしています。
「歯ぐきから血が出る」
「歯周ポケットが深いと言われた」
「歯がグラグラする」
「歯周病が進んでいると言われた」
「できることなら自分の歯を残したい」
という方は、まず現在のお口の状態を確認するところから始めましょう。
アークデンタルクリニックの歯周病治療について
※本記事では、歯周病について一般的な情報をご紹介しています。実際の診断や治療方法、歯を保存できる可能性は、歯周ポケット、歯槽骨、歯根、噛み合わせ、全身状態などによって異なります。歯科医院で診察・検査を受け、歯科医師から十分な説明を受けたうえで治療方法をご検討ください。
執筆・監修:歯科医師 名古屋 肇