歯周外科とは?どんな場合に手術が必要になるのか歯科医師が解説
「歯周病の治療を続けているのに、深い歯周ポケットが残っていると言われた」
「歯周外科が必要と言われたけれど、本当に手術まで必要なの?」
「歯ぐきを切ると聞いて不安になった」
歯科医院で初めて「歯周外科」という言葉を聞くと、
「歯周病で手術までしなければならないの?」
と驚く方も少なくありません。
しかし、歯周病だからといって、最初から歯周外科を行うわけではありません。
まず行うのは、歯みがきの改善や歯石除去などの歯周基本治療です。
その後に再評価を行い、歯周ポケットの深さ、出血、歯ぐきの炎症などを確認します。
それでも深い歯周ポケットや炎症が残り、通常の方法では歯根の深い部分を十分に確認しながら治療することが難しい場合に、次の選択肢として検討されるのが歯周外科治療です。
大切なのは、
「手術をすること」が目的ではない
ということです。
目的は、通常の治療では見えにくい場所を直接確認しながら処置し、
できるだけ今ある歯を長く使える環境を整えること
です。
この記事では、
- 歯周外科とはどのような治療なのか
- なぜ必要になることがあるのか
- どんな場合に検討するのか
- 手術はどのように行うのか
- 痛みやリスクはあるのか
- 歯周外科をすれば歯を残せるのか
について、わかりやすく解説します。
歯周病治療全体について先に知りたい方はこちらをご覧ください。
- 歯周外科を理解する前に、まず歯周病について知っておきましょう
- 歯周病だからといって、すぐに手術をするわけではありません
- なぜ深い歯周ポケットでは、通常の治療だけでは難しいことがあるのでしょうか?
- 歯周外科は「見える状態で治療する」ための方法です
- 歯周外科は、どんな場合に必要になるのでしょうか?
- 歯周外科手術はどのように行うのでしょうか?
- 歯周外科手術は痛いのでしょうか?
- 歯周外科をすれば、必ず歯を残せるのでしょうか?
- 歯周外科の主なリスク・注意点
- 歯周外科の目的は「手術をすること」ではありません
- 歯周外科の後こそ、メンテナンスが大切です
- 歯周外科についてよくある質問
- 根室市で歯周外科・進行した歯周病治療をご検討の方へ
歯周外科を理解する前に、まず歯周病について知っておきましょう
歯周病は、歯ぐきだけに起こる病気ではありません。
歯と歯ぐきの境目にたまったプラークに含まれる細菌によって炎症が起こり、進行すると、歯を支えている歯槽骨などの歯周組織が少しずつ失われていきます。
初期には、
- 歯みがきのときに血が出る
- 歯ぐきが赤く腫れる
- 口臭が気になる
などの症状がみられることがあります。
さらに進行すると、
- 歯がぐらつく
- 歯ぐきから膿が出る
- 噛むと違和感がある
- 歯ぐきが下がる
- 歯が長く見える
といった変化が現れることもあります。
歯周病で注意したいのは、強い痛みがないまま進行することがあるという点です。
そのため、症状だけで判断するのではなく、
- 歯周ポケット
- 出血
- 歯の揺れ
- 歯を支える骨
- 歯石やプラーク
- 噛み合わせ
などを総合的に確認する必要があります。
歯周病だからといって、すぐに手術をするわけではありません
歯周外科は、歯周病治療の最初から行うものではありません。
まず行うのは歯周基本治療です。
主な内容には、
- 歯みがき方法の改善
- 歯間ブラシ・デンタルフロスの活用
- 歯石除去
- 歯周ポケット内部の清掃
- スケーリング・ルートプレーニング
などがあります。
これらによって、歯周病の原因となるプラークや歯石をできるだけ取り除き、歯ぐきの炎症改善を目指します。
その後に行うのが再評価です。
再評価では、
- 歯周ポケットがどの程度改善したか
- 出血が残っていないか
- 歯の揺れはどうか
- 炎症が残っていないか
などをもう一度確認します。
歯周基本治療によって十分に改善していれば、歯周外科を行わず、そのままメンテナンスへ移行する場合もあります。
一方で、深い歯周ポケットや炎症が残っている場合には、歯周外科を検討することがあります。
なぜ深い歯周ポケットでは、通常の治療だけでは難しいことがあるのでしょうか?
歯周病が進行すると、歯と歯ぐきの間にある「歯周ポケット」が深くなります。
比較的浅い場所であれば、歯ぐきの外側から器具を入れて、歯石などを除去できることがあります。
しかし、歯周ポケットが深くなるほど、
「どこに歯石が残っているのか」
を直接確認することが難しくなります。
特に、
- 歯根のくぼみ
- 歯と歯の間
- 奥歯の複雑な根の周囲
- 歯根が分かれている部分
などでは、器具が届きにくいことがあります。
つまり、
治療をしていても、深い場所に原因が残っている可能性がある
ということです。
歯周外科は「見える状態で治療する」ための方法です
代表的な歯周外科治療の一つに、フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)があります。
局所麻酔を行い、必要な範囲の歯ぐきを一時的に開くことで、それまで見えなかった歯根や周囲の骨を直接確認できるようにします。
その状態で、
- 歯根深部に付着した歯石
- プラーク
- 炎症性の組織
- 歯槽骨の状態
などを確認しながら処置します。
通常の治療では見えなかった場所を、
実際に確認しながら処置できること
が歯周外科の大きな特徴です。
当院で行っている歯周外科治療について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
歯周外科は、どんな場合に必要になるのでしょうか?
歯周外科は、すべての歯周病患者さまに必要な治療ではありません。
主に、次のような場合に検討します。
歯周基本治療後も深い歯周ポケットが残っている場合
歯石除去やスケーリング・ルートプレーニングを行っても、深い歯周ポケットが残ることがあります。
深いポケットは、ご自宅の歯みがきでは十分に清掃できません。
そのため、細菌が再び増え、炎症が続く原因になることがあります。
歯ぐきの深い部分に歯石が残っていると考えられる場合
歯石は、歯ぐきより上だけではなく、歯ぐきの中にある歯根面にも付着します。
歯周病が進行すると、かなり深い位置に付着していることもあります。
通常の方法では確認しにくい場合に、歯周外科によって直接確認しながら処置します。
歯を支える骨の状態を詳しく確認する必要がある場合
歯周病による骨の吸収は、すべての場所で同じように起きるわけではありません。
部分的に深く骨が失われている場合もあります。
歯周外科では、歯ぐきを開くことで、骨の状態を直接確認できます。
歯周組織再生療法を検討する場合
骨の失われ方などによっては、歯周組織再生療法を検討できる場合があります。
ただし、すべての患者さま・すべての歯に適応できるわけではありません。
- 骨の形
- 歯の状態
- プラークコントロール
- 全身状態
などを確認して判断します。
歯周外科手術はどのように行うのでしょうか?
一般的なフラップ手術では、おおむね次のような流れで治療します。
STEP1|局所麻酔
治療する部分に局所麻酔を行います。
STEP2|歯ぐきを開く
必要な範囲の歯ぐきを切開し、歯根や周囲の骨を確認できる状態にします。
STEP3|歯石や炎症性組織を除去する
深い位置に付着している歯石などを、直接確認しながら処置します。
STEP4|必要に応じて追加処置を行う
骨や歯周組織の状態によって、必要な処置を追加することがあります。
適応がある場合には、歯周組織再生療法を検討することもあります。
STEP5|歯ぐきを戻して縫合する
必要な処置が終わったら、歯ぐきを元の位置に戻して縫合します。
STEP6|術後の確認・抜糸
治癒状態を確認し、必要な時期に抜糸を行います。
その後、再評価を行います。
歯周外科手術は痛いのでしょうか?
歯周外科は、通常、局所麻酔を行って治療します。
そのため、治療中の痛みに配慮しながら処置を行います。
ただし、麻酔が切れたあとには、
- 痛み
- 腫れ
- 出血
- 違和感
などが出ることがあります。
症状の程度には個人差があり、治療範囲や処置内容によっても異なります。
治療前に、
- どのような処置をするのか
- なぜ必要なのか
- 術後にどのような症状が考えられるのか
- 日常生活で何に注意するのか
を確認しておくことも大切です。
歯周外科をすれば、必ず歯を残せるのでしょうか?
いいえ。
歯周外科を行ったからといって、必ずその歯を残せるわけではありません。
歯を残せるかどうかには、
- 歯槽骨がどの程度残っているか
- 歯根の状態
- 歯の揺れ
- 根分岐部の状態
- 噛み合わせ
- むし歯や歯根破折の有無
- セルフケア
- 全身状態
など、さまざまな要素が関係します。
重要なのは、
「手術をすれば残せるか」ではなく、
「その歯を残すために歯周外科を行う意味があるか」
を判断することです。
状態によっては、無理に残すことがお口全体にとって最善とはいえない場合もあります。
「できるだけ歯を抜かずに残したい」という方はこちらの記事もご覧ください。
歯周外科の主なリスク・注意点
歯周外科には、次のようなリスクや注意点があります。
- 術後の痛み
- 腫れ
- 出血
- 感染
- 歯ぐきが下がることがある
- 歯が以前より長く見えることがある
- 歯根が露出してしみることがある
- 治療後も歯周ポケットが残る場合がある
- 歯を保存できない場合がある
治療を受けるかどうかは、メリットだけでなく、こうした点についても理解したうえで判断することが大切です。
歯周外科の目的は「手術をすること」ではありません
「歯周外科」と聞くと、
「かなり大がかりな治療なのでは?」
と不安になる方もいらっしゃると思います。
しかし、歯周外科そのものが治療の目的ではありません。
目指しているのは、
歯周病の原因となるものをできるだけ取り除き、その歯を長く使える環境を整えること
です。
歯周基本治療で十分に改善できれば、歯周外科は必要ありません。
だからこそ、
検査
↓
歯周基本治療
↓
再評価
↓
必要な場合のみ歯周外科
という順番が大切です。
歯周外科の後こそ、メンテナンスが大切です
歯周外科を行ったからといって、それで歯周病治療が終わるわけではありません。
歯周病は、治療後もプラークが再び蓄積すれば、再発・進行する可能性があります。
そのため治療後は、
- 毎日の歯みがき
- 歯間ブラシ・デンタルフロス
- 定期的な歯周ポケットの確認
- プラーク・歯石の除去
- 噛み合わせの確認
- 歯の揺れの確認
などを継続することが重要です。
歯周外科はゴールではなく、その歯を長く守るための治療過程の一つ。
その後のメンテナンスまで含めて考えることが大切です。
歯周外科についてよくある質問
Q. 歯周病になったら必ず歯周外科が必要ですか?
いいえ。
まず歯周基本治療を行い、その後の状態を再評価して必要性を判断します。
基本治療で十分に改善すれば、歯周外科を行わない場合もあります。
Q. 歯周ポケットが何mmなら手術が必要ですか?
歯周ポケットの深さだけで決めるものではありません。
出血、歯石の残存、骨の状態、歯の揺れ、清掃状態などを総合的に確認して判断します。
Q. 歯周外科では歯ぐきを切るのですか?
代表的なフラップ手術では、必要な範囲の歯ぐきを切開し、歯根や骨を確認できる状態にして治療します。
Q. 歯周外科をすると歯ぐきが下がることがありますか?
治療後に歯ぐきが下がり、歯が以前より長く見える場合があります。
また、歯根が露出すると、一時的にしみることもあります。
Q. 歯周外科をすれば歯周病は再発しませんか?
いいえ。
治療後もセルフケアと定期的なメンテナンスが必要です。
Q. 歯周外科をしないという選択もできますか?
治療を受けるかどうかは、患者さまが説明を理解したうえで決めるものです。
なぜ必要と考えられるのか、行わなかった場合にどのようなことが考えられるのかについて説明を受け、納得したうえで判断することが大切です。
根室市で歯周外科・進行した歯周病治療をご検討の方へ
「歯周外科が必要と言われた」
「歯周病治療を続けても改善しない」
「深い歯周ポケットが残っていると言われた」
「できれば歯を抜かずに残したい」
そのような方も、まずは現在のお口の状態を確認することが大切です。
歯周病だからといって、すぐに手術を行うわけではありません。
歯周基本治療で改善できるのか。
歯周外科を行う意味があるのか。
その歯を残せる可能性はどの程度あるのか。
検査結果をもとに、一緒に治療方法を考えていきます。