「歯を失ってしまったけれど、インプラントにした方がいいのだろうか」
「手術は痛くないの?」
「費用はいくらくらいかかる?」
「一度入れたら、どのくらい長く使えるの?」
インプラント治療を検討し始めると、このような疑問や不安を感じる方は少なくありません。
インプラントは、失った歯を補う治療方法の一つです。
しっかり噛みやすく、周囲の歯を大きく削らずに治療できるという特徴がありますが、外科手術が必要で、治療期間や費用、治療後のメンテナンスについても理解しておく必要があります。
また、歯を失った場合の治療方法はインプラントだけではありません。
ブリッジや入れ歯という選択肢もあります。
アークデンタルクリニックでは、「歯がないからインプラントにしましょう」と最初から治療方法を決めるのではなく、まず患者さまのお悩みやご希望を伺い、お口の状態を確認したうえで、それぞれの治療方法についてご説明することを大切にしています。
この記事では、インプラント治療を検討している方が最初に知っておきたい、
治療方法・メリットとデメリット・痛み・費用・治療期間・骨が少ない場合・寿命・メンテナンス
について、わかりやすくご説明します。
インプラントとは?
インプラント治療とは、歯を失った部分の顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着して、失われた歯の機能や見た目を補う治療方法です。厚生労働省が公開している歯科インプラント治療指針でも、人工歯根を顎の骨に埋入し、それを支えとして歯の機能や形態の回復を図る治療として説明されています。
天然の歯では、歯の根が顎の骨の中にあります。
インプラントでは、その歯根に相当する部分を人工のインプラント体で補います。
そのため、取り外し式の入れ歯とは構造が異なり、失った歯の部分を独立して補えることが大きな特徴です。
ただし、「歯を失ったら必ずインプラント」というわけではありません。
患者さまのお口の状態、顎の骨、残っている歯、全身状態、治療に対するご希望などによって、適した治療方法は異なります。
歯を失った場合には3つの代表的な治療方法があります
歯を失った場合、代表的な治療方法として、インプラント・ブリッジ・入れ歯があります。
インプラントは周囲の歯を大きく削らずに失った部分を補えることが特徴です。
ブリッジは、失った歯の両隣などを支えにして固定式の人工歯を装着します。
入れ歯は、取り外し式の装置によって失った歯を補います。
それぞれに特徴があり、治療期間、費用、外科手術の有無、残っている歯への影響、お手入れの方法などが異なります。
そのため、
「インプラントが一番良い治療」
と一律に考えるのではなく、
「自分にとってどの治療が合っているのか」
を考えることが大切です。
インプラント・ブリッジ・入れ歯の違いについて詳しく知りたい方は、
「インプラント・入れ歯・ブリッジは何が違う?歯を失ったときの3つの治療方法を歯科医師が比較」もあわせてご覧ください。
インプラント治療のメリット
インプラントの大きな特徴は、失った歯の部分を人工歯根によって支えることです。
そのため、ブリッジのように隣の健康な歯を大きく削る必要がなく、取り外し式の入れ歯のように残っている歯へバネをかける必要もありません。
また、顎の骨でインプラントを支えるため、固定式の歯として噛むことができます。
「もう一度しっかり噛みたい」
「できるだけ周囲の歯に負担をかけたくない」
「取り外し式の入れ歯に抵抗がある」
という方にとって、インプラントは検討できる治療方法の一つです。
インプラント治療にはデメリットやリスクもあります
インプラントにはメリットがある一方で、知っておきたいデメリットもあります。
まず、顎の骨へインプラントを埋め込むための外科手術が必要です。
また、多くの場合は自由診療となるため、保険診療の入れ歯などと比較すると治療費が高くなります。
治療も一日で終了するわけではなく、インプラントと骨が安定するまで一定の期間が必要です。
さらに、治療後もセルフケアや定期的なメンテナンスが必要です。
外科処置には、術後の痛み・腫れ・出血・感染などの可能性があり、骨や周囲組織の状態などによっては追加処置が必要となる場合があります。治療前に十分な診査・診断を行い、メリットだけではなく、リスクについても理解しておくことが重要です。
インプラント手術は痛い?
インプラント治療を検討される患者さまから、特に多くいただく質問の一つが、
「手術は痛くありませんか?」
というご質問です。
インプラント手術では、通常、局所麻酔を使用し、手術中の痛みを抑えながら処置を行います。
ただし外科手術ですので、麻酔が切れたあとに痛みや腫れが出ることがあります。症状の程度には個人差があり、手術内容や骨造成の有無などによっても異なります。
「骨にインプラントを入れる」と聞くと、とても大がかりな手術を想像される方もいらっしゃいます。
しかし、大切なのは「怖そうだから諦める」「大丈夫だろうと簡単に考える」のどちらでもなく、実際にどのような手術を行うのかを事前に理解することです。
手術中・手術後の痛みや腫れについては、
「インプラント治療は痛い?手術中・手術後の痛みや腫れについて解説」
で詳しくご説明しています。
インプラント治療にはどのくらい費用がかかる?
インプラント治療は、多くの場合、健康保険が適用されない自由診療です。
そのため、
「最終的に全部でいくら必要なのか」
は、治療を選ぶうえで大切な判断材料になります。
インプラント治療の費用は、単に「人工歯根1本の価格」だけで決まるものではありません。
顎の骨の状態、治療する場所、使用する人工歯、骨造成などの追加処置が必要かどうかによっても変わります。
アークデンタルクリニックでは、現在、インプラント1本の標準的な総額を税込43万円~としています。症例によって必要な処置や費用は異なるため、診査・診断後に治療内容と費用をご説明してから治療を進めます。
なぜインプラントの費用が患者さまによって異なるのかについては、
をご覧ください。
実際の料金について詳しく知りたい方は、
をご確認ください。
インプラント治療はどのように進む?
インプラント治療では、いきなり手術を行うわけではありません。
まず患者さまのお悩みやご希望を伺い、お口の中を診察します。
必要に応じてCTなどによる検査を行い、顎の骨の量や形、神経や上顎洞など周囲組織との位置関係、残っている歯、歯周病、噛み合わせなどを確認します。
その結果をもとに治療計画をご説明し、ご納得いただいたうえでインプラント手術を行います。
その後、インプラントが骨と安定するまでの期間を待ち、人工歯を装着します。
アークデンタルクリニックにおける標準的な治療期間は、下顎で3~6か月程度、上顎で4~6か月程度を目安としていますが、骨の状態や抜歯・骨造成の有無などによって変わります。
治療の詳しい流れについては、
「インプラント治療の流れ|相談・CT診断から手術・治療後のメンテナンスまで」
をご覧ください。
骨が少なくてもインプラントはできる?
インプラントは顎の骨によって支えられるため、治療する部分に一定の骨量が必要です。
歯を失ってから長期間経過している場合や、歯周病などによって骨が減っている場合、
「骨が少ないのでインプラントは難しい」
と言われることがあります。
しかし、
「骨が少ない=必ずインプラントができない」
とは限りません。
骨が不足している場所や程度によっては、GBRやソケットリフト、サイナスリフトなどの骨造成を組み合わせることで、インプラント治療を検討できる場合があります。一方、骨造成を行えばすべての方がインプラント治療を受けられるわけではなく、CTなどによる診査・診断が重要です。
詳しくは、
「骨が少ないと言われてもインプラントはできる?骨造成や治療方法を解説」
をご覧ください。
インプラントは何年くらいもつ?
「インプラントは一度入れれば一生使えるのですか?」
という質問もよくいただきます。
インプラントの使用期間を、「必ず10年」「必ず20年」というように一律に決めることはできません。
治療した部位だけでなく、歯周病の状態、毎日のセルフケア、噛み合わせ、生活習慣、全身状態、定期的なメンテナンスなど、さまざまな要因が関係するからです。
適切な治療と継続的な管理によって長期間使用されているインプラントも多くありますが、「インプラントを入れれば、その後は何もしなくてよい」という治療ではありません。
インプラントを長く使うために大切なポイントについては、
で詳しくご説明しています。
インプラントは「入れたら終わり」ではありません
インプラント治療では、人工歯が入った日が本当のゴールではありません。
大切なのは、
治療した状態をできるだけ長く維持していくことです。
インプラントそのものはむし歯にはなりませんが、その周囲の歯ぐきや骨に炎症が起こることがあります。
そのため、毎日の歯磨きなどのセルフケアに加え、定期的に歯ぐき、噛み合わせ、人工歯、残っているご自身の歯などを確認することが重要です。
厚生労働省が公開する歯科インプラント治療指針でも、インプラント治療後のメインテナンスの重要性が独立した項目として示されています。
インプラント治療後の管理については、
もあわせてご覧ください。
インプラントについてよくある質問
Q1.高齢でもインプラント治療は受けられますか?
インプラント治療では、年齢だけで治療の可否が決まるわけではありません。
大切なのは、顎の骨の状態やお口の中の状態、全身の健康状態などです。
年齢が高くてもインプラント治療を検討できる場合がありますが、持病や服用しているお薬、手術への負担などを含めて慎重に判断する必要があります。
まずは診察と検査を行い、ご自身の場合にどのような治療が考えられるのか確認することが大切です。
Q2.インプラント治療にはどのくらいの期間がかかりますか?
治療期間は、治療する場所や顎の骨の状態、インプラントの本数、骨造成の有無などによって異なります。
インプラントを埋め込んだあとには、骨とインプラントが安定するまで一定の期間を待つ必要があります。
また、抜歯後の治癒を待つ場合や骨造成が必要な場合には、治療期間が長くなることもあります。
「何か月で終わる」と一律に決めることはできないため、検査後にご自身の治療計画を確認することをおすすめします。
Q3.骨が少ないと言われたら、インプラントはできませんか?
骨が少ないからといって、必ずインプラント治療ができないわけではありません。
骨が不足している場所や程度によっては、GBRやソケットリフト、サイナスリフトなどの骨造成を行うことで、治療を検討できる場合があります。
ただし、すべての症例で骨造成が可能とは限りません。
CTなどを用いて骨の量や形、神経・上顎洞との位置関係などを確認し、治療方法を検討します。
Q4.歯周病があってもインプラントはできますか?
歯周病がある場合には、まず歯周病の状態を確認することが重要です。
歯周病によって歯ぐきや顎の骨に炎症がある状態のままでは、インプラント治療後のトラブルにつながる可能性があります。
そのため、必要に応じて歯周病の治療を行い、お口の中の環境を整えてからインプラント治療を検討します。
インプラントだけを見るのではなく、残っているご自身の歯も含めて、お口全体を良い状態に整えていくことが大切です。
Q5.インプラント治療後にトラブルが起こることはありますか?
インプラント治療後も、まったくトラブルが起こらないわけではありません。
例えば、インプラント周囲の歯ぐきに炎症が起こったり、噛み合わせの変化によって人工歯に負担がかかったりすることがあります。
そのため、治療後も毎日のセルフケアと定期的なメンテナンスが重要です。
「痛くないから大丈夫」と考えるのではなく、問題が大きくなる前に定期的に状態を確認することが、インプラントを長く使用していくうえで大切です。
インプラント・ブリッジ・入れ歯、どれを選べばいい?
ここまでインプラントについてご説明してきましたが、私たちは、
「歯を失ったらインプラントにするべき」
とは考えていません。
患者さまによって、大切にしたいことは違います。
「しっかり噛めるようになりたい」
「できるだけ他の歯を削りたくない」
「外科手術には抵抗がある」
「治療期間をできるだけ短くしたい」
「費用も含めて考えたい」
どれも大切な希望です。
だからこそ、治療方法のメリットだけを見るのではなく、デメリットや治療後の生活まで含めて考える必要があります。
インプラント、ブリッジ、入れ歯の特徴を比較したい方は、
「インプラント・入れ歯・ブリッジは何が違う?歯を失ったときの3つの治療方法を歯科医師が比較」
をご覧ください。
インプラントにするか決める前に、まずお話を聞かせてください
インプラント治療で大切なのは、
「インプラントを入れること」そのものではありません。
その治療によって、
「もう一度しっかり噛みたい」
「好きなものを気にせず食べたい」
「人前で自然に笑いたい」
という患者さまの希望につながることが大切だと、アークデンタルクリニックでは考えています。
そのため、最初から治療方法を決めるのではなく、まず患者さまのお悩みや不安、ご希望をお聞きします。
そして、現在のお口や顎の骨の状態を確認し、インプラントだけでなく、ブリッジや入れ歯も含めて考えられる治療方法をご説明します。
治療内容、治療期間、費用、メリット・デメリットを理解したうえで、
「自分はどうしたいのか」
を一緒に考えていきましょう。
インプラントを受けると決めていなくても構いません。
「自分の場合はインプラントができるのか」
「入れ歯やブリッジとの違いを聞いてみたい」
「費用や治療期間について詳しく知りたい」
という段階でも、お気軽にご相談ください。
※本記事はインプラント治療に関する一般的な情報をお伝えするものです。実際に適した治療方法、治療期間、費用、必要となる処置は、お口や顎の骨、全身状態などによって異なります。診察・検査を受けたうえで、歯科医師から説明を受けてください。
執筆・監修:歯科医師 名古屋肇