歯を守る・治す

歯周病が進行しても歯を残せるケースとは?重度歯周病で歯を残すために確認したい7つのポイント

「歯周病がかなり進んでいますと言われた」

「歯を支える骨が減っていると言われたけれど、この歯は残せるのでしょうか?」

「歯がグラグラしている。もう抜くしかないのでしょうか?」

歯周病が進行していると聞くと、

「もう歯を抜くしかないのではないか」

と不安になる方は少なくありません。

しかし、歯周病が進行しているからといって、すべての歯が必ず抜歯になるわけではありません。

歯を支えている骨がある程度残っていること、歯周病の炎症をコントロールできること、歯根そのものに大きな問題がないことなど、いくつかの条件がそろえば、歯を残せる可能性を検討できる場合があります。

一方で、

「残せる可能性がある」ことと、「残すことが最善である」ことは同じではありません。

状態によっては、無理に歯を残すことで周囲の歯や骨に悪影響を及ぼすこともあります。

そのため重要なのは、

「重度だから抜く」
「グラグラしているから残せない」

と一つの症状だけで判断するのではなく、

  • 歯を支える骨はどの程度残っているのか
  • 炎症を改善できるのか
  • 歯そのものに問題はないのか
  • 噛む力に耐えられるのか
  • 治療後も良い状態を維持できるのか

を総合的に確認することです。

この記事では、歯周病が進行していても歯を残せる可能性があるのはどのようなケースなのか、根室市のアークデンタルクリニックがわかりやすく解説します。

歯周病が進行すると、なぜ歯を失うことがあるのでしょうか?

歯周病は、歯ぐきだけの病気ではありません。

歯と歯ぐきの境目にたまったプラークに含まれる細菌によって炎症が起こり、進行すると歯を支えている歯槽骨などの歯周組織が少しずつ失われていきます。

初期には、

  • 歯磨きをすると血が出る
  • 歯ぐきが赤く腫れる
  • 口臭が気になる

といった症状が中心です。

さらに進行すると、

  • 歯周ポケットが深くなる
  • 歯ぐきから膿が出る
  • 歯ぐきが下がる
  • 歯が長く見える
  • 歯がグラグラする
  • 噛みにくくなる

といった症状が現れることがあります。

特に重要なのが、歯を支えている歯槽骨が失われることです。

歯槽骨による支えが減るほど、歯は不安定になり、噛む力に耐えることが難しくなります。

ただし、

「骨が減っている=すぐに抜歯」ではありません。

重要なのは、骨がどの程度残っているのかだけではなく、どの位置に、どのような形で残っているのかまで確認することです。

歯周病の原因や進行、当院で行っている治療について詳しく知りたい方は、「アークデンタルクリニックの歯周病治療について」もあわせてご覧ください。

歯周病が進行していても歯を残せる可能性がある7つのポイント

歯を残せるかどうかは、一つの検査結果だけで決めることはできません。

いくつかの条件を組み合わせて判断します。

1.歯を支える骨がある程度残っている

歯を残せるかどうかを考えるうえで、重要な判断材料の一つが歯槽骨です。

歯周病によって骨が失われていても、歯根を支える骨がある程度残っていれば、治療によって炎症を改善し、歯の安定を目指せる場合があります。

ここで大切なのは、

「骨が減っているか」ではなく、「残っている骨でその歯を支えられる可能性があるか」

という視点です。

一方で、歯根の周囲の骨がほとんど失われている場合には、長期的な保存が難しくなることがあります。

2.歯周基本治療によって炎症が改善する

重度の歯周病であっても、最初から手術をするわけではありません。

まず行うのは歯周基本治療です。

歯磨き方法を見直し、歯科医院でプラークや歯石を取り除いていきます。

歯ぐきの中にある歯石に対しては、スケーリング・ルートプレーニングなどを行います。

治療後に、

  • 出血が減る
  • 歯ぐきの腫れが改善する
  • 歯周ポケットが浅くなる
  • 歯の揺れが減る

といった変化が見られる場合があります。

つまり、

現在どれだけ悪いかだけでなく、治療に対してどれだけ改善するか

も重要な判断材料になります。

3.深い部分の感染源を取り除ける

歯周基本治療を行っても、深い歯周ポケットが残ることがあります。

特に、

  • 歯根のくぼみ
  • 歯と歯の間
  • 奥歯の複雑な根の周囲
  • 歯根が分かれている部分

などでは、歯ぐきの外側からでは歯石を十分に確認しながら取り除くことが難しい場合があります。

そのようなケースで検討されるのが、歯周外科治療です。

代表的なフラップ手術では、局所麻酔を行い、歯ぐきを一時的に開いて、歯根や周囲の骨を直接確認します。

これによって、

  • 深い部分に残った歯石
  • プラーク
  • 炎症性の組織

などを、目で確認しながら処置できるようになります。

アークデンタルクリニックでは、この

「見える状態で治療すること」

を、歯周外科の大切な意味の一つと考えています。

ただし、歯周外科を行えば必ず歯を残せるわけではありません。

歯を支える骨や歯根の状態などを確認したうえで、適応を判断します。

深い歯周ポケットに対して行う歯周外科の内容については、「歯周外科治療について詳しく見る」をご覧ください。

4.歯周組織再生療法を検討できる状態である

歯周病によって歯槽骨が失われていても、骨の欠損の形など一定の条件が合えば、歯周組織再生療法を検討できる場合があります。

歯周組織再生療法は、失われた歯槽骨や歯根膜などの歯周組織の再生を促すことを目的とした治療です。

ただし、

「骨が減っているから再生療法をすればよい」というものではありません。

適応を判断するためには、

  • 骨の欠損の形
  • 歯根の状態
  • 炎症の程度
  • プラークコントロール
  • 喫煙の有無
  • 全身状態

などを確認する必要があります。

条件が合う場合には、歯を残す可能性を広げる治療方法の一つになります。

5.歯にかかる噛む力をコントロールできる

歯周病が進行し、歯を支える骨が減っている歯では、通常の噛む力でも負担が大きくなることがあります。

特定の歯だけに強く力が加わっていると、歯の揺れがさらに大きくなる場合があります。

必要に応じて、

  • 噛み合わせを調整する
  • 強く当たっている部分を調整する
  • 周囲の歯と一時的に固定する

といった処置を行うことがあります。

ただし、

噛み合わせを調整すれば歯周病が治るというわけではありません。

歯周病の原因となる感染をコントロールしたうえで、歯にかかる力も適切に管理する。

この両方が重要です。

6.歯根や歯そのものに大きな問題がない

歯を残せるかどうかは、歯周病だけでは判断できません。

たとえば、

  • 歯根が大きく割れている
  • むし歯が歯根の深い部分まで進行している
  • 歯を修復すること自体が難しい

といった場合には、歯周病を治療しても長く使い続けることが難しい場合があります。

逆に、

歯そのものには大きな問題がなく、主な問題が歯周組織にある場合

には、歯周病治療によって保存を検討できる可能性があります。

つまり、

歯周病だけを見るのではなく、「その歯そのものが今後も使える状態なのか」

を確認することが重要です。

7.治療後のセルフケアとメンテナンスを継続できる

歯を残せるかどうかを考えるうえで、治療後の管理も非常に重要です。

歯周基本治療や歯周外科によって状態が改善しても、再びプラークが蓄積すれば歯周病が再発・進行する可能性があります。

特に重度の歯周病を治療した場合には、

「治療して終わり」ではなく、「良い状態を守り続けること」

が欠かせません。

毎日の歯磨きや歯間ブラシに加え、歯科医院で定期的に、

  • 歯周ポケット
  • 出血
  • 歯の揺れ
  • プラーク・歯石
  • 噛み合わせ

などを確認します。

重度の歯周病では、メンテナンスまで含めて治療と考えることが大切です。

反対に、歯を残すことが難しいのはどのようなケースでしょうか?

できることなら、自分の歯を残したい。

これは、多くの患者さまが思われることだと思います。

私たちも、残せる可能性がある歯については、できるだけその可能性を検討することが大切だと考えています。

しかし、

「残せるかもしれないから残す」という判断が、必ずしも患者さまにとって最善とは限りません。

たとえば、

  • 歯を支える骨がほとんど残っていない
  • 歯の揺れが非常に大きい
  • 歯根が大きく割れている
  • 感染を十分にコントロールできない
  • 周囲の歯や骨に悪影響を与える可能性が高い
  • 治療しても十分に噛む機能を回復できない

といった場合には、抜歯を検討することがあります。

無理に歯を残した結果、その歯が感染源となり、隣の歯を支える骨まで失われてしまえば、お口全体にとって大きな不利益になることがあります。

そのため、

「絶対に抜かないこと」ではなく、「残す価値がある歯をできるだけ残すこと」

が大切です。

「残せるか」だけでなく「残すことに意味があるか」を考える

ここは、歯周病治療で非常に重要な考え方です。

歯科治療では、

「技術的に残せるか」

だけではなく、

「その歯を残すことが、患者さまの将来にとって本当に良いか」

まで考える必要があります。

たとえばその歯を残した場合に、

  • 周囲の歯との噛み合わせは安定するか
  • 隣の歯に悪影響を与えないか
  • 今後何度も治療が必要にならないか
  • お口全体でしっかり噛めるか
  • 5年後、10年後も管理できるか

といったことまで考えます。

治療のゴールは、

「歯を一本でも多く残すこと」だけではありません。

できるだけご自身の歯を活かしながら、お口全体を長期的に安定させ、しっかり噛める状態を維持すること。

そこを目指すことが大切です。

重度の歯周病でも「まず治療して、もう一度判断する」ことがあります

歯周病が進行している場合でも、最初の検査だけでは予後を判断しきれないケースがあります。

そのため、

検査

歯周基本治療

再評価

という順番で、治療に対する反応を確認します。

歯周基本治療によって、

  • 炎症が改善した
  • 出血が減った
  • 歯周ポケットが浅くなった
  • 歯の揺れが減った

という変化が見られれば、その結果も踏まえて保存の可能性を検討します。

一方で、深い歯周ポケットや炎症が残る場合には、必要に応じて歯周外科など次の治療を検討します。

つまり、

「最初から残せる・残せないと決めつけるのではなく、治療への反応を見てから判断する」

こともあるのです。

歯周ポケットの深さや、基本治療後にどのように判断するのかについては、「歯周ポケットが深いと言われたらどうする?」もあわせてご覧ください。

歯周病が進行した歯についてよくある質問

歯がグラグラしていても残せることはありますか?

状態によっては、残せる可能性があります。歯の揺れだけでは判断できません。歯を支える骨、歯周ポケット、炎症、歯根、噛み合わせなどを総合的に確認します。

歯を支える骨が減っていても残せますか?

骨の減り方や残っている位置によって異なります。ある程度歯を支える骨が残っている場合には、歯周基本治療や歯周外科などによって保存を検討できることがあります。

重度の歯周病なら歯周外科をすれば残せますか?

必ず残せるわけではありません。歯周外科は、深い場所に残った感染源を取り除くための治療方法の一つです。歯槽骨や歯根などの状態を確認して適応を判断します。

歯周外科が必要になる理由や手術の流れについて詳しく知りたい方は、「歯周外科とは?どんな場合に手術が必要になるのか」をご覧ください。

歯周組織再生療法をすれば失った骨は元通りになりますか?

すべての症例で元通りになるわけではありません。骨の欠損の形などによって適応が異なり、再生できる程度にも個人差があります。

他院で抜歯と言われた歯について相談できますか?

現在の歯や歯周組織の状態を確認し、保存できる可能性や考えられる治療方法を検討することはできます。ただし、検査の結果によっては、長期的なお口の健康を考えて抜歯をご提案する場合もあります。

重度の歯周病でも治療する意味はありますか?

あります。すべての歯を残せるとは限りませんが、炎症を改善し、残せる歯を見極め、お口全体の状態を安定させることには大きな意味があります。

根室市で「できるだけ自分の歯を残したい」とお考えの方へ

「歯周病がかなり進んでいます」

「この歯は抜いた方がいいかもしれません」

そう言われれば、

「本当にもう残せないのだろうか」

と考えるのは自然なことです。

アークデンタルクリニックでは、

「重度だから抜く」
「グラグラしているから残せない」

と一つの症状だけで判断するのではなく、現在のお口の状態を詳しく確認します。

歯を支える骨はどの程度残っているのか。

歯周基本治療によって炎症を改善できるのか。

深い部分に感染源が残っていないか。

歯周外科を行う意味があるのか。

歯周組織再生療法を検討できるのか。

そして最も大切なのは、

その歯を残すことが、5年後、10年後のお口全体にとって本当に良い選択なのか。

という視点です。

私たちが目指しているのは、

ただ「抜かないこと」ではありません。

できるだけご自身の歯を活かしながら、これから先もしっかり噛み、食事を楽しめる状態をつくること。

そのために、残せる可能性のある歯はできるだけ残し、一方で、残すことがお口全体にとって不利益になる歯については、その理由をきちんとご説明したうえで治療方法を一緒に考えます。

歯周病が進行していると言われた方。

歯がグラグラしている方。

抜歯が必要かもしれないと言われ、他に方法がないのか知りたい方。

まずは現在のお口の状態を詳しく確認することから始めてみてください。

    → 歯周病治療について詳しく見る

歯周病治療について相談する

※歯を保存できるかどうかや、歯周外科・歯周組織再生療法の適応は、歯周病の進行程度、歯や歯槽骨の状態、噛み合わせ、全身状態などによって異なります。実際の治療方針は診察・検査を行ったうえで判断します。

執筆・監修:歯科医師 名古屋肇

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