骨が少ないと言われてもインプラントはできる?骨造成や治療方法を解説
「インプラントを希望したけれど、骨が少ないと言われた」
「骨が薄いので難しいと言われた」
「このままインプラントを諦めるしかないのでしょうか?」
このような不安を感じている方は少なくありません。
インプラントは、顎の骨の中に人工歯根を埋め込んで歯を補う治療です。
そのため、インプラントを安定して支えるには、ある程度の骨の量や状態が必要です。
ただし、
「骨が少ない=インプラントはできない」
とは限りません。
現在では、骨が不足している場合に、その部分を補う骨造成という治療があります。
骨の不足している場所や程度によっては、
- GBR
- ソケットプリザベーション
- ソケットリフト
- サイナスリフト
などを組み合わせることで、インプラント治療を検討できる場合があります。
一方で、
「骨造成をすれば、誰でも必ずインプラントができる」
というわけでもありません。
大切なのは、
「骨があるか、ないか」だけで判断するのではなく、「どこに、どのくらい骨があり、どの位置にインプラントを入れる必要があるのか」を正確に確認すること
です。
この記事では、
- なぜ顎の骨が少なくなるのか
- 骨が少なくてもインプラントができる場合
- 骨造成にはどのような方法があるのか
- 骨造成をすると治療期間や負担はどう変わるのか
- インプラント以外の選択肢も考えた方がよい場合
について、わかりやすく解説します。
- なぜインプラントには顎の骨が必要なの?
- 顎の骨が少なくなる主な原因
- 1.歯を失ってから長期間経過している
- 2.歯周病によって骨が失われている
- 3.抜歯する前から骨が失われている
- 4.上顎の奥歯は骨の高さが不足しやすい
- 「骨が少ない」と言われたら、まずCTで詳しく確認します
- 骨が少ない場合に行う「骨造成」とは?
- 骨造成にはどんな方法がある?
- 1.GBR
- 2.ソケットプリザベーション
- 3.ソケットリフト
- 4.サイナスリフト
- GBRとサイナスリフトは何が違う?
- 骨造成をすれば必ずインプラントができる?
- 骨造成をすると治療期間は長くなる?
- 骨造成をすると痛みや腫れはある?
- 骨造成をしない方法はある?
- 他院で「骨が少ないので難しい」と言われた場合は?
- 骨が少ない場合ほど、事前の診断が大切です
- アークデンタルクリニックでは、まず「骨を増やすか」ではなく「何が必要か」を考えます
- まとめ|「骨が少ない=インプラントできない」とは限りません
- 「骨が少ない」と言われた方へ
なぜインプラントには顎の骨が必要なの?
インプラントは、顎の骨の中にインプラント体と呼ばれる人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療です。
つまり、インプラントは顎の骨に支えてもらうことで、噛む力に耐えられるようになります。
そのため、インプラントを入れる場所に十分な骨がなければ、
- 適切な位置に埋め込めない
- インプラントの周囲に十分な骨を確保できない
- 神経や上顎洞に近づきすぎる
- 長期的な安定が得にくくなる
といった問題が起こる可能性があります。
ここで大切なのは、
「入れられる場所にインプラントを入れる」のではなく、「将来も安定して使える位置に入れる」
という考え方です。
だからこそ、インプラント治療では、手術をする前の診断がとても重要になります。
顎の骨が少なくなる主な原因
「なぜ自分は骨が少ないのだろう?」
と疑問に思う方も多いと思います。
顎の骨が減る理由は一つではありません。
1.歯を失ってから長期間経過している
顎の骨は、歯を支える役割があります。
歯があると、噛むたびにその刺激が顎の骨へ伝わります。
しかし、歯を失うと、その部分には以前のような刺激が伝わらなくなります。
その結果、時間の経過とともに骨が痩せていくことがあります。
そのため、
「何年も前に歯を抜いて、そのままにしている」
という場合には、インプラントを検討した時点で骨の幅や高さが不足していることがあります。
2.歯周病によって骨が失われている
歯周病は歯ぐきだけの病気ではありません。
進行すると、歯を支えている歯槽骨が少しずつ失われていきます。
そのため、
歯周病によって歯を失った方では、インプラントを入れたい場所の骨も減っている
ということがあります。
また、歯周病が残った状態のままインプラント治療を進めるのは望ましくありません。
このような場合には、インプラントだけを見るのではなく、残っている歯を含めてお口全体の歯周病を管理することが重要です。
歯周病によって顎の骨が失われている場合には、インプラントだけでなく、まず残っている歯を含めた歯周病の状態を確認することが大切です。詳しくは「歯周病治療・歯周外科」をご覧ください。
3.抜歯する前から骨が失われている
骨が減るのは、抜歯した後だけではありません。
例えば、
- 重度の歯周病があった
- 歯の根の先に大きな炎症があった
- 歯根が割れていた
- 長期間感染が続いていた
といった場合には、抜歯をする時点ですでに周囲の骨が失われていることがあります。
そのため、
「最近抜歯したから、骨は十分あるはず」
とは限りません。
実際にどれくらい骨が残っているかは、画像検査などで確認する必要があります。
4.上顎の奥歯は骨の高さが不足しやすい
上顎の奥歯の上には、上顎洞という空洞があります。
歯を失った後に顎の骨が痩せたり、上顎洞との距離が近くなったりすると、インプラントを入れるための骨の高さが不足することがあります。
このようなケースでは、
- ソケットリフト
- サイナスリフト
などを検討することがあります。
「骨が少ない」と言われたら、まずCTで詳しく確認します
インプラント治療では、
「骨が少ないらしい」
というだけでは、治療方法を決めることはできません。
重要なのは、
どこに、どのくらい骨が不足しているのか
を正確に確認することです。
そのために役立つのがCT検査です。
通常のレントゲン写真では平面的な情報が中心ですが、CTでは顎の骨を立体的に確認できます。
CTでは、
- 骨の幅
- 骨の高さ
- 骨の形
- 神経の位置
- 上顎洞の位置
- 隣の歯との距離
- インプラントを入れる方向
などを確認します。
つまり、
「骨が少ない=できない」
と判断する前に、
「どの場所の骨が、どの程度不足しているのか」
を確認することが大切です。
骨の状態だけでなく、インプラント治療全体の考え方や診査・診断については、「インプラント治療」ページでも詳しくご紹介しています。
骨が少ない場合に行う「骨造成」とは?
骨造成とは、インプラントを適切な位置に埋め込むために、不足している骨を補う治療です。
骨が不足している部分に骨造成材などを入れ、新しい骨ができるための環境をつくります。
ただし、骨造成は、
「骨が少ない人全員に同じ方法を行う治療」
ではありません。
必要な方法は、
- 骨が足りない場所
- 不足している量
- インプラントを入れる位置
- 神経や上顎洞との距離
- 周囲の歯や歯ぐきの状態
などによって変わります。
骨造成にはどんな方法がある?
代表的な方法をご紹介します。
1.GBR
GBRは、骨の幅や量が不足している部分に骨造成材を補い、膜などで保護しながら、骨ができるための環境をつくる方法です。
例えば、
「インプラントを入れたい場所の頬側の骨が薄い」
という場合などに検討されます。
骨の不足が比較的小さい場合には、インプラント手術と同時に行えることがあります。
一方で、骨の不足が大きい場合には、
先に骨造成
↓
骨が安定するまで待つ
↓
インプラント手術
という流れになることがあります。
2.ソケットプリザベーション
ソケットプリザベーションは、抜歯した部分へ骨造成材などを入れ、抜歯後に骨が大きく減るのをできるだけ抑えることを目的とする処置です。
将来的にインプラントを検討している場合、
「歯を抜いてから骨が大きく痩せる前に、できるだけ骨を残しておく」
という考え方です。
すべての抜歯に必要な処置ではありませんが、将来の治療計画によって検討することがあります。
3.ソケットリフト
ソケットリフトは、上顎の奥歯で骨の高さが少し不足している場合に検討される方法です。
インプラントを入れるために形成した穴から上顎洞の底を慎重に持ち上げ、その部分に骨造成材を入れます。
骨の不足量が比較的小さい場合に検討されることが多く、インプラントを埋め込むのと同時に行えるケースもあります。
4.サイナスリフト
サイナスリフトは、上顎の奥歯部分で、インプラントを支えるための骨の高さが大きく不足している場合に検討される方法です。
歯ぐき側から上顎洞へアプローチし、上顎洞の粘膜を慎重に持ち上げ、その下へ骨造成材を入れます。
骨の状態によって、
骨造成と同時にインプラントを入れる場合
と、
先に骨造成を行い、骨ができてから後日インプラントを入れる場合
があります。
GBRとサイナスリフトは何が違う?
この2つは混同されやすい治療です。
簡単に言うと、
GBR
主に骨の幅や局所的な骨不足を補うために行う方法
サイナスリフト
主に上顎の奥歯で、上顎洞との距離が近く、骨の高さが不足している場合に行う方法
です。
つまり、
どちらが優れているかではなく、骨が不足している場所によって使い分けます。
骨造成をすれば必ずインプラントができる?
ここは非常に重要です。
骨造成をすれば、誰でも必ずインプラントができるわけではありません。
例えば、
- 骨の不足が非常に大きい
- 重度の歯周病が残っている
- 喫煙によるリスクが高い
- 全身状態に問題がある
- 神経や上顎洞との位置関係が難しい
- 手術による負担が大きい
といった場合には、インプラント以外の方法を検討した方がよいこともあります。
そのため、大切なのは、
「骨造成をすればインプラントを入れられるか」
だけではありません。
「その治療を行うメリットが、患者さまにとって手術の負担やリスクを上回るか」
まで考える必要があります。
骨造成をすると治療期間は長くなる?
骨造成を行う場合、通常のインプラント治療より治療期間が長くなることがあります。
骨造成した部分では、新しい骨ができて安定するまで一定の期間が必要だからです。
場合によっては、
骨造成
↓
骨が安定するまで待つ
↓
インプラント手術
↓
インプラントと骨が安定するまで待つ
↓
人工歯を装着
という流れになります。
一方、骨の不足が比較的小さい場合には、インプラント手術と骨造成を同時に行えることもあります。
そのため、
「骨造成をすると必ず半年以上余計にかかる」
というわけではありません。
実際の治療期間は、骨の不足量や治療方法によって変わります。
骨造成をすると痛みや腫れはある?
骨造成は外科処置です。
そのため、手術後には、
- 痛み
- 腫れ
- 内出血
- 少量の出血
- 違和感
などが出ることがあります。
症状の程度は、
- 骨造成の範囲
- 手術する場所
- 手術内容
- 患者さまの体質
などによって異なります。
特に大きな骨造成を行う場合には、通常のインプラント手術よりも腫れが強く出ることがあります。
そのため治療前に、
「自分の場合はどのくらいの処置になるのか」
「どの程度腫れる可能性があるのか」
「仕事や日常生活への影響はどのくらいあるのか」
まで確認しておくと安心です。
インプラント手術中や手術後の痛み・腫れについては、「インプラント治療は痛い?手術中・手術後の痛みや腫れについて解説」でも詳しくご紹介しています。
骨造成をしない方法はある?
骨が少ない場合でも、必ず骨造成をしなければならないとは限りません。
お口の状態によっては、
- インプラントの位置を検討する
- インプラントの本数や設計を工夫する
- ブリッジを選ぶ
- 入れ歯を選ぶ
といった方法を検討することもあります。
ここで大切なのは、
「何としてもインプラントにする」ことを目的にしないことです。
患者さまによって、
- しっかり噛みたい
- 残っている歯をできるだけ守りたい
- 入れ歯は避けたい
- 手術はできるだけ少なくしたい
- 治療期間を短くしたい
- 費用をできるだけ抑えたい
など、希望は異なります。
だからこそ、インプラントだけでなく、ブリッジや入れ歯も含めて考えることが大切です。
歯を失った場合には、インプラントだけでなく、ブリッジや入れ歯という選択肢もあります。治療期間や費用、周囲の歯への影響などの違いについては、「インプラント・ブリッジ・入れ歯の違いと選び方」で詳しく解説しています。
他院で「骨が少ないので難しい」と言われた場合は?
以前、他の歯科医院で、
「骨が少ないのでインプラントは難しいです」
と言われた方もいらっしゃると思います。
その診断が間違っているという意味ではありません。
実際に、骨の不足が大きい場合や神経・上顎洞との位置関係によっては、インプラントが非常に難しいケースもあります。
一方で、骨造成にはいくつかの方法があり、歯科医院によって対応できる治療範囲も異なります。
そのため、
「本当にインプラントが難しいのか詳しく知りたい」
「骨造成をすれば可能なのか確認したい」
という場合には、CTなどで改めて状態を確認し、別の治療方法について説明を受けることも一つの選択肢です。
ただし、
「他院で難しいと言われた=必ず他院ではできる」
ということでもありません。
実際に検査・診断をしたうえで判断する必要があります。
骨が少ない場合ほど、事前の診断が大切です
インプラント治療で最も大切なのは、
「インプラントを入れること」ではありません。
重要なのは、
「適切な位置に、無理のない方法で入れ、できるだけ長く使える状態をつくること」
です。
そのためには、
- 顎の骨
- 神経
- 上顎洞
- 歯周病
- 残っている歯
- 噛み合わせ
- 全身状態
などを総合的に考える必要があります。
特に骨が少ない場合には、通常のケース以上に、事前の診断と治療計画が重要になります。
また、インプラントを長く使用するためには、治療後のセルフケアと定期的なメンテナンスも重要です。詳しくは「予防・メンテナンス」をご覧ください。
アークデンタルクリニックでは、まず「骨を増やすか」ではなく「何が必要か」を考えます
アークデンタルクリニックでは、
「骨が少ないから、すぐに骨造成をしましょう」
という考え方ではありません。
まず患者さまのお話を伺い、
- なぜ歯を失ったのか
- どのように噛めるようになりたいのか
- 現在のお口の状態
- 顎の骨の幅や高さ
- 歯周病の状態
- 残っている歯
- 神経や上顎洞との位置関係
- 噛み合わせ
- 全身状態
などを確認します。
そのうえで、
そのままインプラントを入れられるのか
骨造成を併用した方がよいのか
先に骨造成を行った方がよいのか
インプラント以外の方法を選んだ方がよいのか
を一緒に考えます。
大切なのは、
「インプラントができるかどうか」ではなく、「患者さまが望む生活につながる治療なのか」
ということです。
インプラント治療の流れはこちらからご確認ください。
まとめ|「骨が少ない=インプラントできない」とは限りません
インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込む治療です。
そのため、骨の量や状態はとても重要です。
しかし、
「骨が少ないと言われた=インプラントを諦めなければならない」
とは限りません。
骨が不足している場合でも、
- GBR
- ソケットプリザベーション
- ソケットリフト
- サイナスリフト
などを用いることで、インプラント治療を検討できるケースがあります。
一方で、
すべての方に骨造成やインプラント治療が適しているわけではありません。
だからこそ、
「骨が少ないからできる・できない」
と単純に判断するのではなく、
「自分の場合、どこにどのくらい骨があり、どんな治療方法が考えられるのか」
を確認することが大切です。
アークデンタルクリニックでは、
「骨が少ないと言われた」
「他院でインプラントは難しいと言われた」
「骨造成が必要なのか知りたい」
「GBRやサイナスリフトについて詳しく聞きたい」
「インプラント以外の選択肢も含めて相談したい」
という方のご相談にも対応しています。
治療を受けるかどうかは、検査を行い、治療方法・期間・費用・メリット・デメリットについて説明を聞いてから決めていただいて構いません。
まずは、ご自身の顎の骨が現在どのような状態なのかを知ることから始めてみてください。
※本記事はインプラント治療および骨造成についての一般的な情報をお伝えするものです。骨造成やインプラント治療が可能かどうか、必要となる治療内容は患者さまの骨の量・形、お口の状態、全身状態などによって異なります。実際の治療については、CT検査などを含めた診察・診断を受けてご確認ください。
「骨が少ない」と言われた方へ
骨が少ないと言われても、すぐにインプラントを諦める必要があるとは限りません。
大切なのは、CTなどで顎の骨の幅や高さ、神経・上顎洞との位置関係を確認し、どのような治療方法が考えられるのかを判断することです。
「骨造成が必要なのか知りたい」
「他院でインプラントは難しいと言われた」
「GBRやサイナスリフトが必要なの?」
「インプラント以外の方法も含めて相談したい」
という方も、お気軽にご相談ください。
治療を受けるかどうかは、検査結果や治療方法、期間、費用、メリット・デメリットについて説明を聞いてから決めていただいて構いません。
執筆・監修:歯科医師 名古屋肇