歯ぐきから血が出るのは歯周病?原因と受診の目安を解説
「歯を磨くと、歯ぐきから血が出る」
「フロスをすると、いつも同じところから出血する」
「痛みはないけれど、このまま放っておいて大丈夫?」
このようなお悩みはありませんか?
歯ぐきから血が出ると、
「もしかして歯周病なのでは?」
と不安になる方も多いと思います。
結論からお伝えすると、歯ぐきからの出血は、歯肉炎や歯周病でよくみられるサインの一つです。
ただし、
「血が出る=必ず歯周病」
というわけではありません。
歯磨きの力が強すぎる、フロスや歯間ブラシで歯ぐきを傷つけている、服用している薬や全身状態が影響しているなど、別の原因が考えられることもあります。
大切なのは、
「血が出たから歯周病だ」と自己判断することでも、「痛くないから大丈夫」と放置することでもありません。
なぜ出血しているのかを確認することです。
この記事では、
- 歯ぐきから血が出る主な原因
- 歯周病との関係
- 歯磨きで血が出る場合の対処
- 放置するとどうなるのか
- 歯科医院で行う検査や治療
- どのような場合に受診した方がよいのか
について、わかりやすく解説します。
- 歯ぐきから血が出るのは歯周病のサイン?
- 健康な歯ぐきは、通常の歯磨きで毎回血が出る状態ではありません
- 歯肉炎と歯周炎はどう違う?
- 歯ぐきから血が出る5つの主な原因
- 1.歯肉炎・歯周病
- 2.歯磨きの力が強すぎる
- 3.フロスや歯間ブラシによる刺激
- 4.歯石が付着している
- 5.歯周病以外の原因
- 歯磨きで血が出たら、磨かない方がいい?
- フロスをすると血が出る場合も、やめた方がいい?
- 歯磨きを頑張れば自然に治る?
- 血が出なくなれば歯周病は治った?
- 歯ぐきからの出血を放置するとどうなる?
- このような症状がある場合は早めにご相談ください
- 歯科医院では何を調べるの?
- 歯ぐきから血が出る場合の治療
- 深い歯周ポケットが残る場合には歯周外科を検討することもあります
- 歯ぐきから血が出ない状態を保つために大切な4つのこと
- アークデンタルクリニックでは「血を止めること」だけを目的にしません
- まとめ|歯ぐきからの出血は、お口の状態を見直すサインです
- 歯ぐきから血が出るのが気になる方へ
歯ぐきから血が出るのは歯周病のサイン?
歯ぐきから出血する代表的な原因の一つが、歯ぐきの炎症です。
歯と歯ぐきの境目にプラークがたまると、その中にいる細菌によって歯ぐきに炎症が起こります。
炎症を起こした歯ぐきは健康な歯ぐきよりも刺激に弱くなるため、歯ブラシやフロスが軽く触れただけでも出血しやすくなります。
そのため、
「歯磨きをすると血が出る」
という症状は、歯肉炎や歯周病に気づくきっかけになることがあります。
ただし、出血だけで歯周病の進行度を判断することはできません。
歯科医院では、
- 歯周ポケットの深さ
- 出血する場所
- 歯石の付着
- 歯ぐきの腫れ
- 歯を支えている骨の状態
- 歯のぐらつき
などを総合的に確認します。
つまり、
「血が出るかどうか」だけでなく、「その歯の周りで何が起きているのか」を調べることが大切です。
健康な歯ぐきは、通常の歯磨きで毎回血が出る状態ではありません
健康な歯ぐきは、適切な力で歯を磨いただけで毎回出血するような状態ではありません。
一方、炎症がある歯ぐきでは、
- 赤くなる
- 腫れる
- やわらかくなる
- 出血しやすくなる
といった変化がみられることがあります。
そのため、
「ほぼ毎回、歯磨きのたびに血が出る」
のであれば、
「昔から血が出やすい体質だから」
「歯ブラシが当たっただけだから」
と考えるだけでなく、一度歯ぐきの状態を確認することをおすすめします。
特に、同じ場所から繰り返し出血する場合には、その部分に炎症や歯石がないかを確認することが大切です。
歯肉炎と歯周炎はどう違う?
「歯周病」という言葉は広く使われていますが、大きく分けると歯肉炎と歯周炎があります。
歯肉炎
炎症が主に歯ぐきにとどまっている状態です。
- 歯ぐきが赤い
- 歯ぐきが腫れている
- 歯磨きで出血する
といった症状がみられることがあります。
この段階では、歯を支えている骨への大きな影響がみられないことも多く、プラークや歯石を取り除き、適切な歯磨きを続けることで改善が期待できます。
歯周炎
炎症が歯ぐきだけでなく、歯を支えている組織や骨にまで及んだ状態です。
進行すると、
- 歯周ポケットが深くなる
- 歯ぐきから膿が出る
- 歯ぐきが下がる
- 歯が長く見える
- 歯がぐらつく
- 歯を支えている骨が減る
といった変化が起こることがあります。
つまり、
歯ぐきからの出血は比較的早い段階でもみられるサインですが、その原因を放置すると歯周病が進行する可能性があります。
歯周病がどのように進行するのか、またアークデンタルクリニックで行っている検査・歯周基本治療・歯周外科治療については、「歯周病治療・歯周外科」で詳しくご紹介しています。
歯ぐきから血が出る5つの主な原因
歯ぐきからの出血には、いくつかの原因が考えられます。
代表的なものを見ていきましょう。
1.歯肉炎・歯周病
最も代表的な原因です。
歯と歯ぐきの境目にプラークがたまり、炎症が起こることで出血しやすくなります。
特に、
- 歯磨きのたびに血が出る
- 同じ場所から繰り返し出血する
- 歯ぐきが赤い
- 歯ぐきが腫れている
- 口臭が気になる
といった症状がある場合には、歯肉炎や歯周病が関係している可能性があります。
2.歯磨きの力が強すぎる
「しっかり磨かなければ」と思い、強い力でゴシゴシ磨いていませんか?
歯ブラシを強く押しつけすぎると、歯ぐきを傷つけて出血することがあります。
また、強すぎるブラッシングを長期間続けると、歯ぐきが下がったり、歯の根元が削れたりする原因になることもあります。
歯磨きでは、
「強く磨くこと」よりも、「適切な場所に毛先を当て、丁寧に汚れを落とすこと」
が大切です。
3.フロスや歯間ブラシによる刺激
フロスや歯間ブラシを使ったときに血が出ることもあります。
特に歯と歯の間に炎症がある場合は、フロスを通しただけでも出血することがあります。
一方で、
- フロスを勢いよく歯ぐきへ押し込む
- 大きすぎる歯間ブラシを無理に入れる
といった使い方によって歯ぐきを傷つけることもあります。
そのため、
「血が出るからフロスをやめる」
のではなく、正しいサイズや使い方を確認することが大切です。
4.歯石が付着している
プラークが長期間残ると、石のように硬い歯石になることがあります。
歯石は、一度付着すると通常の歯磨きだけで取り除くことは難しくなります。
さらに歯石の表面にはプラークが付着しやすいため、周囲の歯ぐきに炎症が続く原因になります。
そのため、
「毎日磨いているのに、いつも同じところから血が出る」
という場合には、歯ぐきの中や歯と歯の間に歯石が付着していることも考えられます。
5.歯周病以外の原因
歯ぐきからの出血は、歯周病だけで起こるわけではありません。
例えば、
- ホルモンバランスの変化
- 服用している薬
- 全身状態
- お口の中の傷
などが関係することもあります。
特に、
出血がなかなか止まらない
歯ぐき以外でも出血しやすい
あざができやすい
といった症状がある場合には、歯科だけでなく医科での確認が必要になることもあります。
歯磨きで血が出たら、磨かない方がいい?
ここは、多くの方が迷うところです。
歯磨きをしたときに血が出ると、
「傷つけたのかもしれないから、今日は磨かない方がいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、歯肉炎や歯周病による炎症が原因の場合、歯磨きをやめてプラークを残してしまうと、炎症の原因がそのまま残ることになります。
そのため、
出血したからといって、歯磨きを完全にやめるのはおすすめできません。
ただし、強い力でゴシゴシ磨く必要もありません。
歯と歯ぐきの境目に歯ブラシの毛先をやさしく当て、丁寧に磨きましょう。
出血が続く場合には、自己流で無理に磨き続けず、歯科医院で歯磨きの方法を確認することをおすすめします。
フロスをすると血が出る場合も、やめた方がいい?
フロスを使ったときに血が出ると、
「フロスで傷つけたのでは?」
と心配になる方もいます。
もちろん、使い方によっては歯ぐきを傷つけることがあります。
しかし、歯と歯の間に炎症がある場合には、適切にフロスを通しても出血することがあります。
そのため、
「血が出る=フロスが悪い」
とは限りません。
毎回同じ場所から出血する場合には、その部分に炎症や歯石がないかを確認するとよいでしょう。
歯磨きを頑張れば自然に治る?
軽い歯肉炎であれば、毎日の歯磨きを改善することで炎症が落ち着くことがあります。
しかし、
- 歯石が付着している
- 歯周ポケットが深い
- 歯ぐきの奥に歯石がある
- 歯を支えている骨が失われている
といった場合には、セルフケアだけで十分に改善することは難しくなります。
そのような場合には、歯科医院で、
- 歯石除去
- スケーリング
- SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
- 歯周ポケット内の清掃
などが必要になることがあります。
血が出なくなれば歯周病は治った?
必ずしもそうとは限りません。
出血は、歯ぐきの状態や磨き方によって出たり出なかったりすることがあります。
また、歯周病が進行していても、自覚症状が少ないことがあります。
そのため、
「血が出なくなった=歯周病が完全に治った」
と自己判断するのではなく、
- 歯周ポケット
- 歯ぐきの炎症
- 歯石
- 歯を支えている骨
なども確認することが大切です。
歯ぐきからの出血を放置するとどうなる?
もし出血の原因が歯肉炎や歯周病であれば、そのまま放置することで病気が進行する可能性があります。
例えば、
プラークがたまる
↓
歯ぐきに炎症が起こる
↓
歯周ポケットが深くなる
↓
さらにプラークや歯石がたまりやすくなる
↓
歯を支えている骨が失われる
という悪循環が起こることがあります。
歯周病で注意したいのは、
進行していても強い痛みが出ないことがある
という点です。
痛みがないまま進み、歯がぐらついてから初めて異常に気づくケースもあります。
だからこそ、
「血が出る」という小さな変化を、お口の状態を確認するきっかけにすること
が大切です。
このような症状がある場合は早めにご相談ください
歯ぐきからの出血に加えて、次のような症状がある場合には、一度歯周病の状態を確認することをおすすめします。
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 同じ場所から何度も血が出る
- 口臭が気になる
- 歯ぐきから膿が出る
- 歯ぐきが下がってきた
- 歯が以前より長く見える
- 食べ物が歯と歯の間に挟まりやすい
- 歯が浮くような感じがする
- 歯がぐらつく
- 歯周ポケットが深いと言われたことがある
特に、
出血+腫れ
出血+膿
出血+歯のぐらつき
といった症状がある場合には、早めに歯科医院で状態を確認してください。
歯ぐきからの出血が続いている方へ
「歯磨きのたびに血が出る」
「いつも同じ場所から出血する」
「歯ぐきの腫れや口臭も気になる」
という場合には、一度歯周病の状態を確認してみませんか。
歯ぐきからの出血だけでなく、歯周ポケットや歯石、歯を支えている骨の状態なども確認し、現在のお口の状態をご説明します。
歯科医院では何を調べるの?
歯ぐきから血が出ている場合、単に出血している場所だけを見るわけではありません。
歯周病の検査では、
- 歯周ポケットの深さ
- 検査時の出血
- プラークの付着
- 歯石
- 歯ぐきの腫れ
- 歯の動揺
- 歯を支えている骨の状態
などを確認します。
特に重要なのが、歯周ポケットの検査です。
歯科医院で、
「4mmあります」
「6mmあります」
などと言われた経験がある方もいるかもしれません。
ポケットが深い場合には、その奥に歯石が残っていないか、歯を支えている骨がどの程度残っているかなども確認します。
つまり、
「歯ぐきから血が出る」という一つの症状だけでなく、お口全体の状態を調べて原因を探す
ことが重要です。
「歯周ポケットが4mm、6mmと言われたけれど、どのくらい悪いの?」と気になる方は、「歯周ポケットが深いと言われたらどうする?」もあわせてご覧ください。歯周ポケットの深さだけでなく、出血や骨の状態などを含めてどのように判断するのかを詳しく解説しています。
歯ぐきから血が出る場合の治療
必要な治療は、お口の状態によって異なります。
一般的には、まず歯周基本治療を行います。
例えば、
- 歯磨き方法の確認・改善
- プラークの除去
- 歯石の除去
- 必要に応じたSRP
- 清掃しにくい部分への対応
などです。
その後、もう一度、
- 歯周ポケット
- 出血
- 歯ぐきの炎症
- 清掃状態
などを確認します。
これを再評価といいます。
再評価で改善していれば、その後は定期的なメンテナンスへ進みます。
一方、歯周基本治療を行っても深い歯周ポケットや炎症が残っている場合には、必要に応じて追加治療を検討します。
深い歯周ポケットが残る場合には歯周外科を検討することもあります
深い歯周ポケットでは、歯ぐきの奥にある歯石を直接確認することが難しい場合があります。
歯周基本治療を行っても、
- 深い歯周ポケットが残る
- 出血や炎症が続く
- 深い部分に歯石が残っている可能性がある
といった場合には、歯周外科治療を検討することがあります。
ただし、
「歯ぐきから血が出る=すぐ手術」
ではありません。
まずは歯周基本治療を行い、その結果を再評価したうえで、追加治療が必要かどうかを判断します。
歯周基本治療を行っても深い歯周ポケットや炎症が残る場合に、どのような治療を行うのかについては、「歯周外科治療」で詳しく解説しています。
歯ぐきから血が出ない状態を保つために大切な4つのこと
歯ぐきを健康な状態に保つためには、毎日のセルフケアと歯科医院での管理の両方が重要です。
1.歯と歯ぐきの境目を丁寧に磨く
プラークがたまりやすい場所なので、力を入れすぎず丁寧に磨きましょう。
2.フロスや歯間ブラシを活用する
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを十分に落としにくいことがあります。
3.強く磨きすぎない
「力を入れるほどきれいになる」というものではありません。
適切な力で、毛先をきちんと当てることが大切です。
4.定期的に歯周病の状態を確認する
歯周ポケットや歯石、歯を支えている骨の状態は自分では確認できません。
症状がなくても定期的に歯科医院でチェックすることで、小さな変化を早く見つけやすくなります。
歯周病は、治療して終わりではありません。改善した状態を維持するための定期的なケアについては、「予防・メンテナンス」をご覧ください。
アークデンタルクリニックでは「血を止めること」だけを目的にしません
アークデンタルクリニックでは、
「歯ぐきから血が出るから、とりあえず歯石を取る」
という考え方だけで治療を進めるのではなく、
「なぜ、その場所から血が出ているのか」
を確認することを大切にしています。
例えば、
- どこから出血しているのか
- 歯周ポケットはどの程度か
- 歯石はどこまで付着しているか
- 歯を支えている骨はどの程度残っているか
- 歯が動いていないか
- 毎日の歯磨きでどこに汚れが残っているか
などを確認します。
そのうえで、
歯磨きの改善
↓
歯石除去・歯周基本治療
↓
再評価
↓
必要に応じた追加治療
↓
メンテナンス
という流れで、お口の状態に合わせて治療を進めます。
私たちが大切にしているのは、
出血だけを一時的に止めることではなく、その原因を確認し、歯をできるだけ長く守れる状態をつくること
です。
まとめ|歯ぐきからの出血は、お口の状態を見直すサインです
歯ぐきから血が出る原因は一つではありません。
しかし、
歯磨きやフロスのたびに繰り返し出血する場合には、歯肉炎や歯周病による炎症が隠れている可能性があります。
大切なのは、
「血が出るから磨かない」
ことでも、
「痛くないから放っておく」
ことでもありません。
「歯磨きをすると毎回血が出る」
「いつも同じ場所から出血する」
「歯ぐきが腫れている」
「口臭も気になる」
「以前、歯周ポケットが深いと言われた」
という方は、一度歯ぐきの状態を確認してみてください。
アークデンタルクリニックでは、出血している歯ぐきだけを見るのではなく、歯周ポケット、歯石、歯を支えている骨なども確認し、現在のお口の状態に合わせて治療方法をご説明します。
歯ぐきからの出血は、「まだ痛くないから大丈夫」ではなく、お口の状態を知るための大切なきっかけです。
気になる出血が続いている場合には、早めに一度ご相談ください。
※本記事は、歯ぐきからの出血や歯周病について一般的な情報をお伝えするものです。出血の原因は歯周病だけではありません。出血が止まりにくい、何度も繰り返す、お口以外にも出血しやすい症状がある場合などは、歯科・医科を含めて適切な診察を受けてください。
歯ぐきから血が出るのが気になる方へ
歯ぐきからの出血には、歯肉炎や歯周病だけでなく、さまざまな原因が考えられます。
大切なのは、
「血が出るから歯周病だ」と決めつけることでも、
「痛くないから大丈夫」と放置することでもありません。
アークデンタルクリニックでは、
歯ぐき・歯周ポケット・歯石・歯を支えている骨・歯のぐらつき
などを確認し、なぜ出血しているのかを調べます。
必要な治療がある場合には、現在の状態と治療方法をご説明したうえで進めていきます。
まずは、ご自身のお口の状態を知ることから始めてみてください。
執筆・監修:歯科医師 名古屋肇